美しいビジュアルと洗練されたゲーム性により、
多くのファンを魅了し続ける2D対戦格闘ゲーム『BLAZBLUE』。
ゲームシステムの秀逸さや魅力あるキャラクター、壮大かつ緻密に描かれた世界観により
従来の格闘ゲームファンのみならず多くのユーザーに支持され、
新規タイトルながら瞬く間に話題となる。
シリーズを重ねその人気はゲーム市場だけに留まらず、
アニメ・小説・コミック・舞台など様々なメディアミックスで物語が世に送り出される
「総合エンターテインメント作品」として進化を遂げた。
――A.D.2100
人類は、未だかつてない試練の刻を迎えていた。
突如日本に出現した巨大な怪物『黒き獣』。
その圧倒的な災厄を前に、世界の国々は既に壊滅状態にあった日本への反応兵器による攻撃を決断するが個体への効果は一切認められず、ついにはユーラシア大陸への上陸を許してしまう。
これが後に『暗黒大戦』と呼ばれる、人類史上最大となる戦いの始まりであった。
あらゆる通常兵器を無力化する黒き獣に対し、抗う術を持ち合わせていなかった人類。
その一方的な蹂躙はやがて世界中に広がり、人々は、いつどこに現れるかも分からない怪物に怯えて暮らす生活を強いられていた。
しかし、そんな人類の前に六人の英傑『六英雄』が姿を現した事で、状況は一変する。
六英雄のひとり、大魔道士ナインが生み出した『術式』によって、
黒き獣への有効な対抗手段を得た人類は、間もなく反撃を開始。
激しい戦いの末、遂には黒き獣を打ち倒す事に成功したのだった。
この時点で、黒き獣が日本に出現してから実に十年近い月日が流れていた。
だが、黒き獣という災厄は去ったものの、
暗黒大戦の傷痕は想像以上に深く、獣の身体から発生した有害な物質『魔素』を防ぐため、人々は生活の場を、山岳地帯に建設された『階層都市』に移していく事となる。
こうして科学に頼った文明は徐々に、術式を利用した新たな文明へと、姿を変えていったのである。
――それから長い年月が経ち、
A.D.2199 第十三階層都市カグツチ。
『世界虚空情報統制機構』の管理するこの都市に、ひとりの男が姿を現した。
男は『ラグナ=ザ=ブラッドエッジ』。
右腕に『蒼の魔道書』を携え、統制機構に反旗を翻すSS級賞金首の名である――
ラグナの目的は、統制機構支部の最深部に存在する『窯』を破壊し、その中で精錬される少女『ν-No.13-(ニュー)』が生まれるのを阻止する事だった。
黒き獣の器であるラグナと、その心臓であるニュー。
二人が融合し、窯の向こうにある『境界』へ落ちる事で黒き獣が誕生する――
世界を管理する『タカマガハラシステム』は、その度に時間を2100年へと巻き戻し、世界は人知れず永久のループを重ねていた。
果てのないループを見続けてきた『傍観者』レイチェル=アルカードは絶望と僅かな期待を胸に、今回もラグナの動向を見守る。
だがその希望を掻き消すように、階層都市カグツチの最深部に到達したラグナは、またもニューと共に境界へと落ちていく。
幾度となく繰り返してきたように、再び黒き獣は誕生し、世界は100年前へと巻き戻る……筈だった。
『蒼の継承者(カラミティトリガー)』であるノエル=ヴァーミリオンが、境界へ落ち行くラグナの手を掴むまでは。
ノエルがラグナを助けたことで、黒き獣の誕生は阻まれ、世界はループから脱却した。
しかしそれは『ユウキ=テルミ』という悪を生む結果にもつながってしまう。
そして閉ざされたループから解放された世界は、初めて2200年へと踏み出し、新たな歴史を刻み始める……。
復活したユウキ=テルミは、何が起こるか解らない『確率事象(コンティニュアムシフト)』のあらゆる可能性を見てきた経験から、暗躍を重ねていく。
テルミの目的はマスターユニット・アマテラスの破壊であり、そのために、マスターユニットを認識出来る『蒼の継承者』であるノエルを捕え、『神殺しの剣クサナギ μ-No.12-(ミュー)』として覚醒させようとしていた。
宿敵テルミを打ち倒すため、統制機構カグツチ支部の頂上を目指したラグナだったが、そのラグナの眼の前でミューは精錬を終えてしまう。
更に『碧の魔道書』を持つテルミの前に『蒼の魔道書』も無効化されてしまい、ラグナは絶体絶命の危機に陥っていた。
その絶望的な状況でラグナを救ったのは、科学者ココノエの手で『Λ-No.11-(ラムダ)』として甦ったニューだった。
ラグナは彼女から託された模倣事象兵器『イデア機関』を用いてテルミを撃破。
さらに、己の身体の一部と引き換えに、ミューをノエルに戻す事に成功する。
しかし、それこそがテルミの、そして統制機構の主である帝の思惑だった。
世界を管理していたタカマガハラシステムは、ラグナとノエルに眼を向けた一瞬の隙を突かれ無力化されてしまう。
そして帝は『連合階層都市イカルガ』にて世界の終焉となる『滅日』を起こそうと行動を開始する。
ラグナ達もまた、帝の謀略を止めるため、各々の思惑を胸にイカルガへと向かった……。
統制機構の絶対的な主として君臨する帝。
連合階層都市イカルガには、その帝に反旗を翻そうとする者がいた。
それが、十二宗家筆頭ムツキ家の現当主であるカグラ・ムツキ。
統制機構の衛士最高司令官を務める男であった。
第七機関のココノエと手を組み、世界を変えるため奮闘するカグラに、ノエル、ジン、バングといった面々も協力していく。
その中には、帝を倒すために必要な『クシナダの楔』を求めイカルガを訪れた、ラグナの姿もあった。
ラグナはカグラの元で、極めて珍しい『治癒魔法』の使い手であるセリカ=A=マーキュリーと出会う。
セリカは、過去から魂を複製し現代の器に定着させた『刻の幻影(クロノファンタズマ)』と呼ばれる存在だった。
様々な想いが交錯する中、カグラの『謀反』、そして帝の『滅日』が実行される。
死力を尽くし、帝の謀略を止めようとするラグナ達。
そんな中ついに、ラグナ達の眼前にマスターユニット・アマテラスが姿を現した。
そしてラグナは帝によって黒き獣の力を暴走させられてしまい、ジンとノエルに大怪我を負わせた後、姿を消してしまう。
『冥王イザナミ』を名乗り、世界を無に還す事を宣言した帝。
空に残されたマスターユニットと、謎の黒球。
姿を消したラグナ=ザ=ブラッドエッジ。
そして物語は今、最終章を迎える――
――目覚めると、男は全てを忘れていた。
そこが何処で、己が何者かさえも思い出せない男は、導かれるように第十三階層都市カグツチへと足を踏み入れる。
解ったのは、自分が「死神」と呼ばれる反逆者である事……。
自分が『蒼の魔道書』と呼ばれる存在を所有している事……。
そして、大勢の咎追いや統制機構の衛士達が自分を狙っている事……。
男は、その状況にどこか既視感を憶えながら、自身の感覚を頼りにカグツチの奥へと進む……最深部にある『窯』と呼ばれる場所を目指して。
それは記憶をなぞる『予定調和』か 或いは、『神の観る夢(セントラルフィクション)』か――